「こんなことを気にしてしまう自分ってダメだな…」

そんなふうに、自分のことを「ネガティブ」だと感じて嫌悪感を感じることはないですか?

自己啓発やポジティブ思考が広く浸透する現代において、「ネガティブ」な感情や出来事は、つい「排除すべきもの」として扱われがちです。

今回は、「ネガティブ」の意味と、これからの時代を軽やかに生き抜くための新しい思考法である「バランス思考」について解説します。

ネガティブとは悪いことではない?

ネガティブと聞くと、どんな感じがしますか?日本では一般的に「悪い」「避けたい」印象を持っている方が多いのだそう。

ではネガティブとは本来、どんな意味があるのでしょうか?

「ネガティブ」の意味とは?

ネガティブについて辞書で調べると、以下のように記載がされています。

ネガティブ(negative)とは、否定的な意味合いを持つ言葉である。一般的には、肯定的な状況や事象の反対側を指す。

(出典:weblio辞書「ネガティブとは」

わかりやすく言うと、私たちが日常で使う「ネガティブ」という言葉は、主に「マイナスの感情」や「望ましくない出来事」を指します。

ですが、どんなものにも「光と影」「コインの裏表」があるように、ネガティブな面もポジティブな面とワンセットでこの世界に存在しています。

つまり、ネガティブは悪いものではなく、ものごとの「もう一つの側面」なのです。

それは、私たちが物事を客観的に判断し、適切な行動をとるために不可欠な「情報」であり、「気づきを促すサイン」でもあるのです。

ネガティブが悪いことではない理由

ネガティブな気持ちや出来事が「悪いもの」ではないのは、実はそれが 「成長のきっかけ」 になり、そして 「大切なものに気づくチャンス」 になるからです。

たとえば、

  • 成長のきっかけ
  • うまくいかない経験やつらい出来事があるからこそ、私たちは新しい知恵を得たり、心が強くなったりします。
    失敗や苦しさは、私たちが一歩先へ進むために必要な要素なのです。

  • 大切なものに気づくチャンス
  • 体調を崩したとき。普段あたりまえだと思っていた「健康であること」のありがたさにハッと気づくことがあります。
    ネガティブな体験があるからこそ、日常のありがたさを実感できるのです。

このように、ネガティブなものがなければ、ポジティブなものを感じ取ることも難しくなってしまいます。

つまり、ネガティブは私たちの敵ではなく、喜びや幸せを感じるための“土台”であり、大切な味方なのです。

ネガティブとポジティブとの違い

では、ネガティブとポジティブとの違いは何なのでしょうか?

視点 ポジティブ ネガティブ
感情の役割 前に進む力になる・行動を促す 立ち止まって気づきを得る・軌道修正を促す
思考の傾向 希望や可能性に目を向ける リスクや課題に目を向ける

このように、ポジティブとネガティブは、対立するものではなく、ひとつの出来事を違う角度から見ているだけです。どちらも揃ってはじめて、物事の“全体”をとらえることができ、必要不可欠なものなのです。
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これからの時代の「バランス思考」を解説

ここまで見てきたように、ネガティブとポジティブは相反するものではなく、出来事の両側に存在する“ふたつの視点”です。

どちらか一方に偏るのではなく、両方を意識して受け止めることで、私たちはより広い視野で物事をとらえることができます。

そのために必要なのが、バランス思考です。

バランス思考とは?

「バランス思考」とは、出来事の“良い面と悪い面”の両方に目を向ける思考法のことです。

どちらか一方だけを見るのではなく、ポジティブもネガティブも含めて、その出来事全体を見る視点です。

たとえば、このバランス思考は「ニュートラル思考」とも呼ばれますが、トップアスリートも実践しています。

メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手は、ピンチのときの心の持ちようについてこう語っています。

「なにごともバランスと思っているので。いいこともあれば、悪いこともある。意識的にいいことを考えるのは大事かなと思いますけど、常にポジティブでいようとは思っていません」— 大谷翔平(出展:Numberインタビューより

この言葉には、「あえてポジティブでいようとするのではなく、起きた出来事をありのままに受けとめる」という姿勢が表れています。

大きな成功(ポジティブ)の瞬間にも浮かれすぎず、手痛い失敗(ネガティブ)の瞬間にも落ち込みすぎない。それこそが、どんな状況でも自分の軸を失わず、自然体で力を発揮している人たちの共通点です。

バランス思考を身につける3つのステップ

では、具体的にどのようにすればバランス思考は身につけることができるのか?

こちらについて、簡単なワークをご紹介します。

ステップ1.出来事を書き出す

今最近起きた出来事の中で、一番感情が大きく動いた出来事をひとつ思い出してみましょう。

できれば「どこで・いつ・誰が・具体的に何をしたのか」を具体的に書き出します。

  • 例:リビングにいたとき、夜の夕食後、夫に話しかけたときに夫が話を聞いていなかった
  • 会社のデスクの前、昼頃、上司が電話をしてきて「あの発注、どうなってるんだ?」と言った
  • 保育園の駐車場、先週の夕方、ママ友のAさんがが私の仲良しのママ友Bさんのの悪口を言った

ステップ2.対象者と具体的な行動を特定する

ステップ1で書き出した出来事の何が一番嫌だったのか(飛び上がるほど嬉しかったのか)、「自分の感情」と「相手の行動」を分けて書き出してみます。

このとき、感情をジャッジしなくて大丈夫です。素直な気持ちをそのまま言葉にしてみましょう。

私は〇〇(感情)と感じた。なぜなら、◯◯(対象者)が△△(行動)をしたから。

  • 例:私は怒りを感じた。なぜなら、夫が私の話を聞いていなかったから
  • 私は焦りを感じた。なぜなら上司が私の仕事のミスを指摘したから
  • 私はモヤモヤを感じた。なぜならママ友が別のママ友の悪口を言ったから

ステップ3.その出来事・行動のメリット(またはデメリット)を書く

ここがバランス思考のポイントです。
ネガティブな感情の場合は「メリット」を、ポジティブな感情の場合は「デメリット」を書き出してみましょう。

  • 例:夫が話を聞いていなかったから、私は夫にかまうことなく自分の見たい動画を見ることができた⇒自分の時間を優先できた
  •  
    上司が仕事のミスを指摘したから、私は先輩に確認をしてほしいと頼めるようになった⇒自分で抱え込みすぎていたが、人を頼れるようになった 

    ママ友のAさんが悪口を言ったから、私はもう一人のママ友Bさんののいいところに気づけた⇒Bさんとランチに行く予定を立てられた(自分の気分転換のきっかけが作れていた)

ほんの小さなことでも思いついたことをどんどん書いてみましょう。書くほどにいろんな視点で物事が見れるようになります。

追記:とくに強く感情が動いたことに対して行ってみるのがおすすめです。

ぜひ日々のできごとから、感謝に意識を向けてみてください。

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バランス思考を取り入れたことで得られた変化(体験談)

私自身、この「バランス思考」というものを知らなかった頃は、起きた出来事に一喜一憂し、心が振り回されている状態でした。

とくに管理職時代は、
毎朝「今日はトラブルが起きませんように…」と祈るような気持ちで出勤していました。

やがて、まわりの先輩たちを見て、“私も何を言われても動じない強い人にならなきゃ”と鎧をまとうようにポジティブを装い始めたのです。

その結果、ネガティブな感情を感じることは少なくなりました。

でも同時に、嬉しい気持ちや安心感といった「心のあたたかさ」まで感じづらくなり、
“何かがおかしい…”と怖くなったのを今でも覚えています。

感情は、お知らせとして湧いてくるもの。

それを押し込めるのではなく、そのまま感じて受けとめることが大切なのだと、今では心から実感しています。

バランス思考を意識するようになってからは、良い出来事にも悪い出来事にも振り回されることがなくなってきました。

起きる出来事はすべて、自分にとって意味のある“メッセージ”なのだと感じられるようになり、心穏やかに、日々感謝を感じながら過ごせるようになったのです。

Q&A

ポジティブでいてはいけないのか?バランス思考の疑問

バランス思考を知ってくださっている方から、よく以下のような質問をいただきます。

ネガティブな出来事のメリットを見るのはわかるのですが、
ポジティブな出来事が起きたときに、わざわざデメリットまで見る必要があるのでしょうか?

たしかに「いいこと」は、そのままポジティブなままで受け取っていたいと思いますよね。

ですが、結論として、ポジティブな出来事のデメリットを見ることは非常に大切です。

なぜ、ポジティブな時にデメリットを見る必要があるのか?

それは、ポジティブな感情に浸っていると、つい視野が狭くなってしまうからです。

うれしい気持ちに包まれているときほど、リスクや代償に気づきにくくなり、あとから「思っていたのと違った…」と落ち込んでしまうことがあります。

たとえば

  • 宝くじが当たったとき
  • 最初は大きな喜びがありますが、その裏には「人間関係の変化」や「浪費のリスク」「お金をどう管理するかという不安」が隠れています。

  • 仕事で昇進したとき
  • 達成感や誇らしさがある一方で、「責任の増加」や「労働時間の増加」「家族との時間の減少」といった負担も生まれます。

  • 憧れの人と仲良くなったとき
  • 最初はうれしさや高揚感でいっぱいになりますが、その裏には「相手に嫌われたくないというプレッシャー」や「自分をよく見せようとして自分を見失う」「相手に合わせることで時間やお金を失うリスク」などが潜んでいます。

こうした“もう一つの側面”をあらかじめ見ておくことで、感情に振り回されず、冷静に物事を受けとめることができます。

つまり、デメリットを見る理由は、喜びを否定することではなく、一面的な認識から抜け出し、事実をより客観的・バランスよくとらえるための手段なのです。

まとめ|事実をありのままに見ることが、自然体で生きる第一歩

私たちは、つい「ネガティブ=悪いもの」「ポジティブ=良いもの」と捉えてしまいがちです。

けれど本当は、出来事に良し悪しはなく、ただ“事実”があるだけ。

この視点を持つことが、心を安定させ、自然体で生きるための土台になります。

  • ネガティブは悪いことではなく、ポジティブと同じように一つの出来事の“もう一つの側面”
  • バランス思考とは、出来事の「良い面」と「悪い面」の両方を見て、事実をありのままに受けとめる視点。
  • ポジティブな出来事の裏にも側面があると知ることで、感情に振り回されず、冷静な判断ができる。
  • ネガティブを恐れず、バランスの取れた視点を持つことで、人生はより穏やかで自由になる。

ネガティブはあなたの敵ではありません。

それは、あなたがより深く自分と世界を理解するための“大切なサイン”です。

そして、そのサインを受けとめる力こそが、自然体で生きるあなたを支える軸になります。

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